先日東京シューフェアが開催されている夜に、雑誌シューフィル主催の
http://www.shoephile.co.jp/
シューフィルライブというシンポジウムにスピーカーとして出席しました。
産学交流ということが言われていますが、企業と学校の考えがどう違うか?
ということがテーマでした。
聴講者の多くは若いクリエーターや学生など将来靴業界に進みたい人が多かっ
たようです。また靴メーカーさんの顔もチラホラ見られます。
私からは、デザビレの紹介をさせてもらい、その後シューズビジネスを始める
人についての私の感じていることを話させていただきました。
最近、シューズを教える学校が増え、シューズ関連に仕事につきたい人が増え
ています。
しかし現状では靴業界というのは縮小しています。業界が縮小していくと、体
力や特長の無い零細メーカーから潰れていきます。雇用も減ります。
さらに創業期のブランドにとっては新規参入が難しくなります。
ハイテクやIT、エコなどの成長分野なら業界全体が上りエスカレーターに乗っ
ているように市場が拡大するので、努力すればそれなりに企業も育ちます。
しかし、創業ブランドにとっての靴産業は、下りのエスカレーターで大企業や
中小企業が降りてくるところに、逆らって上っていくぐらいに厳しい状況です
から、普通に「努力」しているだけでは成長できません。
「何をすれば成長できますか」という質問に対して、私からアイデアの一つと
してお話したのが、音楽やスポーツ、ファッション等何でも良いのですが、と
にかくこれだけは負けないという分野を作り、それを商品に活かすことです。
○○という音楽やバンドにはものすごく詳しいとか、ゴスロリにはものすごく
こだわりがあるとか、バイクにはこだわるとか、日本の戦国時代の歴史には詳
しい等、得意分野や好きながあるとテーマ設定や掘り下げがしやすくなります。
また、得意で好きな分野に関連させることで、仕事も楽しくなるという効果も
あります。
市場では、製品の品質だけではなく、そのブランドが提案するライフスタイル
やコダワリが人気を左右します。
ライフスタイルの提案とは、言い換えれば趣味や嗜好を共有できる人を巻き込
んでいくことです。細部にわたるまで、デザイン上の薀蓄(うんちく)や企画
背景となるストーリーを語ることで、購入者を圧倒するのです。
大手ブランドはある程度のロットを見込まなくてはいけないため、誰にでも受
けるように個性を抑え気味にします。
そこに、創業ブランドが戦う隙間があるのです。
とにかく、創業期にブランドはテーマを決めて「一点突破」が重要です。
一点突破のポイントは趣味や特技などの得意分野、コダワリ分野の知識や経験
です。
そうすると・・・開発する商品全体にテーマが無く、単に商品単品の面白さだ
けを考えてデザインしていくと、商品もバラバラだし、コダワリが伝わりにく
いというのもわかってもらえるのではないでしょうか?
さらにブランド力が弱いうちに、ブランド名をいくつも使ったり、毎回テーマ
を変えてみたり、商品点数が少なくて世界観が表現できなかったり、無難な商
品ばかり作ったりしても勝ち目は無いと思います。
ちなみに「何をすれば成長できますか」と聞く企業や人は目標が定まっていな
いから伸びにくいと思います。目標設定が成長のポイントですから、しっかり
目標を持った上で、「○○したいけど、どうしたらよいですか」と聞くところ
は伸びていく可能性があります。