戦略がなんだ、マーケティングがどうした、ということをいくら検討しても、フ
ァッション関連ビジネスの場合は、やはり「魅力」や「個性」があるかどうかが
ビジネスの成否を分けるものではないかと思います。
この魅力や個性というのを引き出す源になるのが前回説明した
1)お客様が求めている
2)自分の強みが活かせる
3)自分が熱中できる
4)オンリーワンのものがある
の4つなのですが、ビジネスモデルとか、ブランドコンセプトという難しい言葉
を使わなくてもこれら4つの要素がブランドや商品に魅力や個性を与えてくれる
ことは、何となく理解してもらえるのではないかと思います。
さて、今回もとても抽象的な話で。
ファッション好きな方なら、店頭にある商品を見て「これは○○○ブランドっぽ
い」とか「これは○○○ブランドが得意そうなデザイン」のように、元になるネ
タが思い浮かぶ場合があるかと思います。
そこにある「ブランドらしさ」って言葉にしようとしても難しいのですが、何と
なく雰囲気でって伝わっているのだと思います。
元ネタとして思い浮かぶブランドって、人気だったり、好きだったり、知人が作
っていたりというように自分にとっての関心があるということもありますが、そ
れ以上に、デザインやブランドのイメージ、雰囲気などの「個性」が際立ってい
るはないでしょうか?
デザイナーの場合、自分が作った商品を見た人が「あなたの商品って○○○の影
響をうけてますよね」とか「○○○ブランドが好きじゃないですか」と言われた
こともあったかもしれません。言った本人は何となく他のブランドに似ているな
ら本家のほうが価値があるよね、なんて思われているかもしれません。
逆に、他の商品を見た人が、「これは○○さんのブランドっぽい」と元ネタにし
てくれるなら、自分のブランドの個性がついてきたのかもしれません。
デザビレでも、個性があると、周りの人が「これ○○○さんのイメージだから買
ってみたの」と言って雰囲気があう小物をもらったりするデザイナーがいます。
ということを考えるとブランドの個性って、「○○○らしさ」というものをお客
さんに感じさせることができるかどうかということではないでしょうか?
たくさん商品があって、毎回展示会でも新商品を打ち出しても、なぜかそのブラ
ンドらしさって何かがわかりにくブランドもあります。
エレガントで端正なデザインをしていたと思ったら、次のシーズンにはナチュラ
ルな雰囲気の商品が加わり、次のシーズンは派手できらびやかな商品が加わると
いうように、毎回新しいことにチャレンジしていることはわかるのですが、なぜ
か一貫性を感じられないのです。
もしかするとトレンドをいち早く察知して、そのエッセンスを取り入れているの
かもしれませんが、チグハグな印象です。
どうしても毎シーズン同じお客様が購入してくれるとは思えません。購入者がリ
ピーターになるには、ブランドの核となるイメージ、柱となるデザインが無いの
です。悪く言うと「何でもあるけど、みんな中途半端」っていう感じです。
だから、全然別のブランドの商品をいきなり持ってきて、一緒に並べても、どれ
が違うブランドのものか判断がつかないかも・・・
これは、ブランドの全体像や、お客様からどのように見られているか、というこ
とを、客観的な視点で見つめなおさないと気がつかないのかもしれません。
近視眼的に、商品のパーツばかりにこだわったり、毎々自分にとって新鮮なもの
を作ろうとするからバラバラになるのですね。
(これは若手に限らず業界何十年の人でも、お客様が欲しがるものではなく、
自分にとって新鮮に見えるものを作っていくうちに、だんだんマーケットとかけ
離れることがあります。)
※しかし、一見デザインがバラバラに見えても、ブランドの理念(例えば環境配
慮とか、社会的メッセージ)でブランドらしさを出している場合もあるので、
いちがいにデザインがチグハグだから悪い、ということではありません。
逆に「個性がある」「○○○らしい」と評価されるブランドの場合、それまでの
シーズンの延長上に新たなデザインが加わります。商品を見ることでどんなお客
様がリピーターなのか、だんだんイメージがはっきりしてきます。
商品の個性がお客様像をイメージさせ、お客様像が商品をイメージさせる、とい
う循環ができます。→このような状態だとブランド構築がウマくいっているので
しょうか。
まずは「自分らしい」とか「自分のブランドらしさ」って何かしらと、悩んでみ
るのもいいのではないでしょうか?