事業を順調に伸ばす人の共通点の一つに、決断が早いということがあります。
伸びないタイプの人は新たなことにチャレンジするとき、失敗を恐れて、慎重
になります。いろいろな資料で前例を調べて、上手くいくかどうか考えます。
前例が無い場合や、調べて分からない場合はどうするかというと、
「しばらく様子を見てみる」
という結論になることが多いのではないでしょうか。
しばらく様子を見ていると、同じようなことにチャレンジした人が失敗してい
るのを見て「やはり様子を見て正解だった」とホッとします。
逆にチャレンジした人が成功しても、まるで他人事のように感じて、機会を失っ
たことをあまり悔しく思わなくなっています。
このように決断を先延ばしすることを繰り返していると、いつの間にか新たなこ
とにチャレンジすることが面倒になってしまうという癖が付いてしまいます。
自分に言い訳をしながら、少しずつ能力やチャンスを腐らせてしまうのです。
決断を早くするタイプの人は、場合によってはあまり考えずに直観だけで行動す
ることもあります。ですから実際に動いてみて失敗することも多いのではないで
しょうか?
しかし、早い時点で失敗するので、その後リカバリーすることが可能です。
失敗を教訓にして次の作戦を考えるので、今度は成功の確率が高まります。
失敗を挽回するために知恵を絞り、臨機応変に対応し、いろいろ工夫をすること
が自分の実力になっていきます。
早い時点で失敗しても痛手は少ないので、多少の失敗は挽回できる、と自信がつ
くようになると、もうチャレンジする不安は少なくなっています。
早く決断することで成功したならば、その時点で決断が遅い人よりも前に進んで
いますから有利なポジションに立って、だいぶ差がついているでしょう。
ビジネスはいつも不確実な要素ばかり、わからないことばかりです。計画通りに
行くことのほうが少ないのです。ですから、経営者にはどんな自体にも臨機応変
な対応をする柔軟性が求められます。
決断を早くすることはその資質を高めるために役に立つのではないでしょうか?
たまに成功した企業の社長が、社員に「よく勉強して、よく考えてから決断しろ」
と言っているのを聞きますが、鵜呑みにしてはいけません。
こういう社長の多くは、若い頃は決断が早くてガムシャラに動いて、失敗も成功
もたくさん経験してきたのです。
この失敗体験が回り道だったように感じるので、自分と同じような苦労をさせた
くなくて、よく考えろと言うのです。
しかし、この社長が成功した本当の理由は、あまり勉強しないで、考えないで、
とにかく決断を早くしてガムシャラに動いた経験によるものではないでしょうか?
とくに大きく成長している企業やブランドを考えてみると、業界慣習を打ち破る
ような革新的なアイデアが核になっているものが多いようです。
この革新的なアイデアは必ずしも、じっくりと勉強して作り上げたというものよ
りも、様々なことを手がけてきて、中にはその失敗から生まれたようなものもの
あります。
確実な事から成功が生まれるというよりも、不確実なものにチャレンジしていく
中から成功の元になるチャンスが生まれるのではないでしょうか?
とにかく「しばらく様子をみよう」と考える癖がついていたら要注意です。