■BIとは
デザビレは、全国でおそらく400箇所以上あるとも言われているビジネスイン
キュベーター(BI:創業支援施設)の一つです。
このBIの目的は一言で言うと「ベンチャー企業を育てる」というものです。
さて、皆さんはベンチャー企業というと、どういう企業を想像しますか?
おそらくIT、バイオ、ハイテク等の先端産業に関わる研究開発型企業を思い描
くのではないでしょうか。たしかにベンチャー企業の多くは成長産業分野に属
しています。
成長産業ということは、市場規模が拡大するので、中小零細企業にもチャンス
が多いのです。
さらにベンチャーの中には、将来的には株式公開(株式上場:IPO)を目指す
という企業も少なくありません。投資会社から投資をしてもらい、上場にする
ことで一流企業の仲間入りを果たそうというものです。
たった一人で始めたビジネスを5年で上場させたとか、わずか数年で売上げ数
億になり社員も数十人に増えたとか、景気のいい話がでてくるのがベンチャー
企業の特長かもしれません。
(しかし同時に廃業もたくさんあり、ハイリスク・ハイリターンなビジネスと
いうイメージもあります。)
創業支援施設の目的の一つは、このような株式公開するような優良な企業を育
てていく、こともあります。
株式公開するような企業は売上げもあり、多くの雇用を果たすことで、地域に
も大きく貢献してくれるのです。成長産業分野での起業を支援することで、多
くの優良企業を育て、地域を活性化し、将来の安定した税収の基盤を作ってい
くのです。
上場と言うのは、稀かもしれませんが、上場に至らなくても、社会的、経済的
に自立した優良企業を育てることが目的なのは間違いありません。
さて、デザビレはBIの中では珍しく、成熟産業であるファッション雑貨業界を
対象に設立されました。成熟していてむしろ市場規模が縮小してくるような産
業です。
廃業率は高く、大手企業が中小零細企業の活躍していた分野まで手を出し、競
争は熾烈化しています。
ファッションや雑貨は創業するのも簡単なので、続々と新規参入も増えていま
す。とにかく小さくなっていく市場を多くの企業で奪い合っているという厳し
い環境です。
このような厳しい状況の中でも、あえてファッションビジネスで成功を目指す
という強い熱意のもった企業や個人に少しでも有利な条件で戦えるように、デ
ザビレを活用してほしいと願っています。
■ビジネスコンセプトを考えてますか
他の成長産業分野では、まず最初に「どの業界、どの業種、どの仕事が儲かる
か」ということをしっかり検討してから起業しています。自分の得意なもの、
好きで続けられるもの、これから市場が成長しそうなもの等を多角的に判断し
ます。ビジネスを立ち上げるための投資額が大きく、失敗が許されないので慎
重にビジネスプランを検討します
まずビジネスのコンセプトを煮詰めるのです。
しかし、ファッション産業においては、「自分で作れるから、好きだから」と
いうところから創業します。
初期投資が少なくても仕事を始められるので、趣味の延長からスタートし、気
がついたらファッションやデザインで起業という場合も多いようです。最初は
友人・知人がお客様になってくれて、誰もが商品を褒めてくれるので、夢を持
って自信満々で夢を起業します。
そのため市場が成長しそうかどうか、自分の商品に競争力があるのかどうか、
は後回しにされることが多いようです。
このように市場の成長性や、ビジネスコンセプトをしっかり考えないという
「つけ」は、創業直後ではなくて、ある程度投資をして事業を進めた段階で現
れるのではないでしょうか?
しばらく続けてみて初めて、売上げが伸びない、生活をするほどの収入が得ら
れない、次のシーズンの展示会するための資金が足りないということで気付く
のです。創業は簡単なのですが、自立したビジネスにするのが難しいのです。
ですから起業を考える、ブランドを大きくしたい、という人たちに考えて欲し
いのは、自分の考えているビジネスは果たしてビジネスとして成立するのか?
ということを客観的な視点で見直すということです。
場合によっては途中でやり直すことも必要になるかもしれません。
(成功する起業家の多くはいくつもの事業での失敗経験があるそうです)
大きな夢を持って、ファッションやデザイン分野で起業することは、自分の人
生をかけるだけの価値があることだと思います。
デザイナーとして成功したい野望があるのも素晴らしいことです。
だからこそ、何としてでも成功し、自分の望みを叶えて欲しいと思います。
そのためには、漠然としたイメージだけでビジネスをスタートするのでは
なく、しっかりと前例や競合ブランドを調べたり、起業プランを練ったり、
テスト販売を行ったり等事前の準備をしっかりしてください。
取引を希望するショップが何を売っているかも知らない、競合のことも調べな
い、業界新聞も読んでいないというような状況で、何も知らないままに「何と
なく起業」するのは、せっかくの夢があっても、ビジネスで成功する確率を低
くしてしまいます。
夢は大きく、下調べと準備はしっかりという気持ちで起業を目指してください。
■ちなみに
宮崎駿監督がニューヨーク近代美術館で映画「ハウルの動く城」が上映された
時、若いアニメ作家に向けて「若いこと、貧乏であること、無名であることは、
創造的な仕事をする三つの条件だ。」という言葉を贈ったそうです。
クリエイティブな仕事をするためには、今の環境を抜け出したい、もっと有名
になりたい、お金持ちになりたい、もっと充実感を得られる仕事がしたい、な
どと言う飢餓感や怒り、上昇志向、欲望、などのエネルギーの源が必要だとい
うことなのでしょう。
そんなエネルギーを持ち、才能溢れる人に、ぜひデザビレに集まって欲しいと
思います。