起業家が成功するためには、人が休んでいる時間も働いて、他人に差をつけな
くてはならないといわれます。プライベートの時間を充実させるために働く時
間を短くしたいなら、収入が低くても我慢するか、収益力のある安定した企業
に務める、という選択肢を考えなくてはならないでしょう。
私は
事業の成長性=才能×マーケティング力×仕事時間(×資本)
だと考えていますから、いくら才能があっても、仕事時間が短い人は、そこそ
この成功しか得られないだろうと思うのです。
そういう私も、20代のときは「徹夜してがんばった」とか「月200時間残業し
た」とか、やたら長時間働いていて、それを自慢したり、身体を悪くしたり、
(不規則な食生活で)体重を増加させたりしたものです。
しかし、長時間働くことが、成果につながるのでしょうか?
働いても働いても稼げない、もの凄く忙しいのに生活が苦しい、という人も少
なくありません。どうしてでしょう。
その原因の一つとしては、働く時間の中身ではないかと思うのです。
仕事には大きく分けると2種類あって、
「新しい価値を作る」ために頭を使う仕事と
「同じことを繰り返す」ために身体を使う作業です。
この「価値を作る仕事の時間」が長ければ長いほど収益性が高くなるのですが、
新しい価値を作るためには、いろいろと現実に直面する厳しさが必要だと思い
ます。
「なんとなく自分のビジネスだけは上手くいく」という甘い妄想を捨てなくて
はなりません。
自分自身の足りない才能や偏った性格をしっかりと見つめなおし、多くの起業
者が挫折しているという厳しいビジネスの現実に向き合うことが求められます。
また、新しい価値を作るためには、知識を得たり、ノウハウを学んだり、先人
にアドバイスを請うたり、と今まで自分が苦手としていたことにも取り組まな
くてはならないでしょう。
新しい価値を作るには、苦手なこと、つらいことにも向き合わなくてはならな
いのです。
この苦手なこと、つらいことを避けるために、身体を使う作業に逃げる場合が
あります。手を動かして作業をしていれば、仕事をした気分を得ることができ
ます。長時間働いて疲れ、何かを成し遂げた満足感を得ることができます。
つらい現実に直面しなくてよいし、手を動かしていれば気持ちが楽なのです。
気持ちが楽で充足感があるので、身体を動かす作業が好きなのです。
好きだから、ますます作業に時間を割くようになります。
はたしてそんなことだけで、成長することができるでしょうか?
さて、今の仕事を、新しい価値を作る仕事と、同じことを繰り返す作業に分け
てみてください。
価値を作るために「頭を使う時間」は、いったいどれくらいあるでしょうか?
ビジネスを成長させるために、「知恵を絞って絞って絞りぬくという時間」は
ありますか?
あまりにも、頭を使うことなく「何となく作業をこなす」時間が多くないですか?
仕事はつらい、ということを言いたいのではありません。
頭を使って価値を作る仕事は、本来楽しくやりがいのあることです。
でも毎日の雑務に追われて、新しい価値を作る仕事から逃げていないか?
ということを考えて欲しいのです。