先日、地域ブランドフォーラムという講演会に行きました。地域ブランドとい
うのは、有名なのところでは松坂牛とか関鯖とか、美濃和紙など地域名が冠に
つく、地域の資源や特産品を活用したブランドのことです。
台東区にもARTIVERYという地域ブランドがありますが、皆さんはご存じです
か?
さて、そのフォーラムの講演の発表の中で、地域ブランドの失敗の原因という
のがいくつか挙げられていました。
・生産者発想で、消費者ニーズに対応していない
・ビジョンがあいまい
・商品の物語、デザインなどの価値が少ない。
・流通チャネルの検討が後回し
・認定制度が先行
・責任者不在
等などですが、これらは、地域ブランドではなく、企業のブランドでも同じこ
とがいえるのではないでしょうか。
私は、とくにその中でも、「商品の物語」という部分に注目しました。
例えば伝統工芸や特産品ならば、その地域に密着した歴史や伝統、逸話等が残
っています。そのブランドについて、掘り下げていけばいくらでも話すことが
できます。物語があればNHKのプロジェクトXのようなドラマも作れるのです。
しかし物語が無いというのは、地域特性や伝統に関係なく、発明おじさんが思
いつきで開発したような商品です。
「どうして、その商品を作ったのですか?」と聞かれて
特に理由が無かったり、作りたかったからとか、見たことが無かったからとか、
どちらにしても「作り手発想」で作ってしまったモノです。
物語が無いので、共感も感心もできません。買う人、使う人のことを考えてい
ない商品にファンがつくでしょうか、つかないですよね。思いつきだけでは、
プロジェクトXでもドラマになりません。最初の1分で番組が終わってしまい
ます。
それから、流通チャネルの検討が後回しというポイント。ちょうどドラフトの
担当の方も言っていたのですが、どの店のどういうターゲットに向けて作るか
を考えないで、まず商品だけ作ってしまい、できたものを見てから、どこに売
ろうか考えているようでは遅いのでしょうね。
作れば売れるという時代は15年くらい前バブルの頃に終わっています。売れる
ものを作る=店頭で主張できる商品を作る、という買う人の立場になった発想
が必要なのですね。
さて、成功する地域ブランドは
・地域性にこだわった商品作り
・消費者直結の流通チャネル
・生産者の顔と名前と思いを伝える
・ビジネスモデル化
・地域イメージの形成
等がポイントになるそうです。
さて事例として紹介された、長野県小布施の酒造メーカー舛一のように、
日本酒という資源を見直して桶仕込みを復活させたり、
お金をかけないマラソンイベントで地域に人を呼び込んだり、
おしゃれなレストランで観光拠点を作ったり・・・
日本に骨を埋める覚悟をもって、お金じゃなくてセンスと知恵で地域ブランド
を作っているところには学びたいことがたくさんあります。
http://www.masuichi.com/
この社長のハッキリした考え方に好感が持てました。会社を元気にすることで、
地域にまでその元気を波及させようとしているようでした。
自立している経営者に見られる、自信と力強さを感じました。