先日デザインフェスタを見てきました。5000組ものいろいろなジャンルのクリ
エーターが作品発表の場として参加しています。
このクリエーター達の若いエネルギーには圧倒されるものがあったのですが、
どうして圧倒されるのか、ということを考えてみました。
私が「これはスゴイな〜」と思うものには、どれもその作品を作り出すために
かかった労力の積み重ねと長い試行錯誤の過程が背景にあるものだと気がつき
ました。
小さな人形を圧倒的な数で飾っているブース、ユニークなデザインで練り上げ
られたTシャツ、壁一面の細密に描かれたイラスト、丹念に編み上げられたレ
ース、驚くような場面を捉えた写真・・・・どれも、思いつきだけでは作り上
げることができません。小手先のものでは「欲しい!」と思えるほどにはなら
ないのです。
一つのテーマにこだわって、何度も何度も試行錯誤を繰り返したり、身体が覚
えるまで技術を修練したり、一つの瞬間に出会うために途方も無い時間を費や
したり、ということが見えてくるのです。
単純な線で構成したイラストも、その洗練さに行き着くまでに、手が自然な線
を描けるようになるまで、ずっと描き続けたのでしょう。
どうして、そこまでこだわることができるのだろう、どうして続けることがで
きるのだろう、と考えてみると、答えは簡単です。
「好きなことだから続けられる」のだと思います。
成功している人には「好きなことを仕事にしている」タイプが多いように思い
ます。それは、好きなことをしていると、それにのめり込んで、集中して仕事
を続けることができるからではないでしょうか。のめりこむことで、能力を持
続して発揮することができます。そして好きなことだから、苦労を苦労と思わ
ないのです。
よく「好きなことを仕事にする」ことを「楽(簡単)にできることを仕事にす
る」ことと勘違いする人がいます。辛い仕事が嫌だから、そこから逃げること
を口実に「好きな仕事」をやるべきだというのですが、これは間違いだと思い
ます。楽なこと=好きなこと、というのは、ほんとうにやりたいことが無い人
の考えではないでしょうか?
好きな仕事は必ずしも楽で簡単な仕事ではありません。好きな仕事でも、時に
は重労働や、苦しいことや、疲れること等もあります。しかし、好きな仕事と
いうのは、苦労さえも楽しく感じさせてくれるものではないでしょうか?
苦労も楽しむから、長いこと続けることができて、続けるから仕事が上達し、
洗練されてくるのです。熟練度が高まることで品質も安定して、商品としての
価値も高まるのです。
もちろん仕事ですから、自分に合わない、嫌いな仕事をしている人も多いと思
います。しかしながら、もしデザイナーやクリエイター、そしてファッション
関連商品を扱う製造業なら、できれば好きなことを仕事にしてもらいたいと思
います。
知識だけで作った商品と、自分が好きでコダワリ抜いて作った商品では、お客
様の感じ方も異なってきます。
楽しみながらライフスタイルやファッションスタイルの提案をしている商品は
お客様の共感を得ることができます。ある種の魅力が溢れているのです。
それがファッション本来の価値に繋がるのではないでしょうか。
売上げが落ちたり、成果が出ないと、最初は好きだった仕事も嫌いになってき
ます。そうすると、余計に魅力的な商品が作れなくなります。
そういう時は、
「自分が本当に好きなことは何なのか」
「何をしているときに夢中になれるのか」
ということを、考えたり、感じたりしてみると良いのかもしれません。